「ストレスでハゲる」という言葉はよく聞かれますが医学的にストレスが直接の原因となって引き起こされる脱毛症の代表格が「休止期脱毛症」です。これはAGAとは異なりヘアサイクルそのものが一時的にストップしてしまう現象です。通常髪の毛の約85%から90%は成長期にあり残りの10%程度が休止期にありますが強い精神的ストレスや高熱、急激なダイエット、手術などの身体的ストレスを受けると成長期にあった髪が一斉に休止期へと移行してしまいます。すると本来ならまだ数年は生えているはずだった髪が数ヶ月後に一気に抜け落ちてしまい全体の毛量が20%から50%も減少してしまうのです。AGAが特定の部位(前頭部や頭頂部)から薄くなるのに対し休止期脱毛症は頭全体から万遍なく抜けるため全体的にボリュームが減ったように感じます。またAGAの抜け毛が細い軟毛であるのに対し休止期脱毛症の抜け毛は太くしっかりした成長途中の毛であることが多いのも特徴です。この脱毛症の良い点は原因となったストレス要因が解消されれば半年から一年程度で自然に回復することが多いということです。特別な薬を使わなくても体が健康を取り戻せばヘアサイクルも正常に戻ります。ただし慢性的なストレスが続いている場合や栄養不足が解消されない場合は慢性休止期脱毛症へと移行し回復が遅れることもあります。AGA治療薬であるミノキシジルは休止期の毛根を叩き起こす作用があるため回復を早めるために補助的に使われることもありますが基本は「休養と栄養」です。「最近急に抜け毛が増えた」と感じたらまずは直近数ヶ月の生活を振り返り心身に無理をさせていなかったかを確認することが大切です。AGAは進行性かつ不可逆的な要素が強く薬なしでの回復は困難ですが「AGAじゃなかった」場合の脱毛症の多くは生活習慣の改善という極めて健康的でリスクのない方法で治る可能性があります。例えば睡眠不足や偏った食生活による栄養失調が原因の脱毛であれば規則正しい生活を送りバランスの良い食事を心がけるだけで半年後には見違えるほど髪が増えることがあります。特に亜鉛、タンパク質、ビタミン類の摂取は重要です。またシャンプーのしすぎや間違ったヘアケアによる頭皮ダメージが原因であれば正しい洗髪方法を身につけ刺激の少ないシャンプーに変えるだけで改善します。喫煙や過度な飲酒も髪の大敵でありこれらを控えることは全身の健康にもつながります。ストレスが原因であれば趣味の時間を持ったりリラクゼーションを取り入れたりしてメンタルケアを行うことが特効薬になります。「薬に頼らなければ治らない」という思い込みを捨て「自分の生活を変えれば髪も変わる」という希望を持つことはとても大切です。もちろんAGAの人にとっても生活習慣の改善はプラスになりますがAGAじゃなかった人にとってはそれこそが根本治療となります。高額な治療費を払う前にまずは自分のライフスタイルを見直しできることから始めてみることが意外なほど大きな成果を生むことがあるのです。