AGA治療において最も重要なのは薬を飲み始めた後にどれだけ改善したかを客観的に評価することですがオンライン診療における写真診断には致命的な欠陥があり正確な経過観察ができないという大きなデメリットがあります。クリニックに通院する場合毎回同じ照明条件同じ角度同じカメラ設定で医療スタッフが撮影を行うため前回との比較が正確に行えますがオンライン診療では患者自身が自撮りを行わなければなりません。しかし素人が自分の頭頂部や後頭部を撮影するのは至難の業であり毎回角度がずれたり髪のセット具合でボリュームが違って見えたりさらに部屋の照明や自然光の入り方によって写真の明るさが変わるため厳密な比較が不可能になります。例えば前回は曇りの日に撮影し今回は晴天の日に撮影した場合光の当たり方で頭皮が透けて見える範囲が全く異なり実際には髪が増えているのに「悪化している」と誤認したりその逆のパターンも頻発します。このような曖昧なデータに基づいて医師が薬の量を調整したり治療方針を変更したりするのは極めてリスキーであり治療の最適化を妨げる要因となります。ある患者は自分で撮影した写真を送るたびに「角度が悪いので撮り直してください」と何度も再送を求められその手間に疲弊してしまい最終的には適当に撮った写真を送って診察を済ませるようになってしまったといいます。これでは何のために診察を受けているのか分からず単に薬を買うだけの作業になってしまいます。また自分では気づかない初期の改善兆候である「コシの変化」や「産毛の増加」も不鮮明な写真では医師に伝わらないため効果が出ているのに実感できず治療を中断してしまうという残念な結果を招くこともあります。正確な経過観察はモチベーション維持のためにも不可欠でありそれを担保できないオンライン診療の構造的欠陥は治療の継続率を下げる大きな要因となっているのです。また薄毛の悩みは精神的なコンプレックスと深く結びついており患者は単に薬が欲しいだけでなく自分の悩みを専門家に聞いてほしいというニーズを持っていますがマニュアル通りの短時間診療ではその思いを受け止める余地がありません。
治療経過を正しく把握できない写真診断の限界と曖昧さ