ドラッグストアのヘアケアコーナーに行けば「育毛」「発毛促進」「髪にハリ・コシ」といった魅力的なキャッチコピーが踊るシャンプーがずらりと並んでおり薄毛が気になり始めた多くの男性がまず最初に手に取るのがこうした育毛シャンプーですが残念ながら医学的な観点から言えば「シャンプーだけで髪が生えることはない」という残酷な現実を直視しなければなりません。シャンプーの本来の役割はあくまで頭皮と髪の汚れを落とし清潔な環境を保つことでありその主成分は水と洗浄剤(界面活性剤)です。たとえ育毛成分が含まれていたとしても洗髪という行為の性質上泡立てて数分後にはお湯で洗い流してしまうため成分が毛根の奥深くまで浸透して留まる時間は極めて短く発毛シグナルを出すほどの作用を期待するのは物理的に無理があります。AGAの原因は男性ホルモンによるヘアサイクルの乱れという内分泌系のメカニズムにあり皮膚の表面を洗うだけのシャンプーでホルモンの働きをコントロールすることは不可能です。では育毛シャンプーは全くの無意味なのかと言えばそうではありません。「髪を生やす」効果はありませんが「髪が育つための土壌を整える」という意味では非常に重要な役割を担っています。適切な洗浄力で過剰な皮脂を取り除き頭皮の炎症を抑えフケや痒みを防ぐことはAGA治療薬の効果を最大限に引き出すための前提条件です。逆に言えばどんなに優れた発毛剤を使っていても頭皮が不潔で毛穴が詰まっていたり炎症を起こしていたりすればその効果は半減してしまいます。つまり育毛シャンプーは「攻めの発毛」ではなく「守りの頭皮ケア」のアイテムとして位置づけるべきであり過度な期待を抱いて高額な商品に飛びつくのではなく自分の頭皮タイプに合ったものを正しく選び治療薬と併用するというスタンスが正解です。「洗うだけでフサフサ」という魔法は存在しませんが「正しく洗うことで未来の髪を守る」ことは確実に可能なのです。
市販の育毛シャンプーで髪が生えるという幻想と現実