多くのAGA専門クリニックが差別化のために展開している「当院オリジナル発毛薬」や「オーダーメイド処方」といった魅力的なパッケージですがその中身と価格設定の裏側には患者が知るべきジェネリック医薬品との密接な関係とコストのからくりが存在しています。オリジナル治療薬と聞くとそのクリニックでしか手に入らない特別な新成分が入っているかのような錯覚に陥りますが実際にはフィナステリドやミノキシジルといった既存のジェネリック医薬品を粉砕して混ぜ合わせたりビタミンや亜鉛、アミノ酸などのサプリメント成分を配合したりして一つのカプセルやタブレットに再加工したものであるケースがほとんどです。つまり基本成分は一般的なジェネリックと同じなのです。クリニック側としてはオリジナルブランドとしてパッケージングすることで価格競争に巻き込まれずに高単価で提供できるメリットがあり患者側としては複数の薬を飲む手間が省けるというメリットがあります。しかし冷静にコストパフォーマンスを考えると市販のジェネリック医薬品とサプリメントを別々に購入した方が遥かに安上がりである場合が少なくありません。もちろん医師が患者の状態に合わせて成分比率を調整しているオーダーメイド処方の場合は付加価値がありますがすべての患者に一律で同じオリジナル薬を処方している場合は単なる「ブランド料」を支払っているに過ぎない可能性があります。賢い患者になるためには「オリジナル」という言葉に惑わされず「具体的に何の成分が何ミリグラム入っているのか」を医師に確認しそれが市場価格と比べて妥当なのかを判断するリテラシーが必要です。もし中身が標準的なフィナステリドとミノキシジルであるならわざわざ高額なオリジナル薬を選ばずとも国内メーカーの正規ジェネリックを選択することで同じ効果を数分の一の費用で得ることができるかもしれません。治療の本質はパッケージの美しさではなく成分の働きにあります。見栄えの良い箱にお金を払うのではなく確かな成分にお金を払うという意識を持つことが治療費の適正化につながります。
クリニック独自の「オリジナル治療薬」の正体とコスト構造