「これで長年の悩みから解放される」。AGAクリニックの扉を叩き、処方された薬を初めて手にした日、僕は本気でそう思っていました。しかし、僕を待っていたのは、希望に満ちた未来ではなく、地獄のような日々でした。治療を始めて3週間が経った頃、それは突然始まりました。シャンプーをするたびに、指に絡みつく髪の毛の量が尋常ではないのです。最初は気のせいかと思いましたが、翌日にはさらに増え、その翌日にはもっと増えました。ドライヤーをかければハラハラと毛が舞い落ち、朝起きれば枕は抜け毛で真っ黒。鏡に映る自分の姿は、治療前よりも明らかに薄くなっていました。髪を増やすための治療が、僕の髪を奪っていく。この矛盾した現実に、僕はパニックになりました。「騙されたんじゃないか」「このままハゲてしまうんだ」。ネガティブな感情が渦巻き、人に会うのが怖くなり、仕事にさえ集中できなくなりました。何度も治療をやめようと思いました。そのたびに、カウンセリングで医師が言っていた「初期脱毛は効果の証です」という言葉を必死で思い出しました。藁にもすがる思いでクリニックに電話すると、医師は「大丈夫、順調ですよ。一番辛い時期ですが、あと少しの辛抱です」と力強く言ってくれました。僕はその言葉だけを信じることにしました。そして、治療開始から約3ヶ月後。あれほど激しかった抜け毛が、嘘のようにピタリと治まったのです。そしてある日、風呂上がりに鏡をよく見ると、スカスカだった生え際に、黒い点々とした短い毛が無数に生えていることに気づきました。産毛です。僕は、思わず鏡の前でガッツポーズをしていました。あの地獄のような日々は、この瞬間のための序章だったのです。今、もしあなたが初期脱毛の渦中で絶望しているなら、伝えたい。その先には、本当に光があります。どうか、諦めないでください。
地獄のような初期脱毛を乗り越えた僕が伝えたいこと