自分の薄毛が治療可能なのか、それとも手遅れなのか。クリニックに行く前に、ある程度の目安を知りたいと思うのは自然な心理です。毛根が完全に活動を停止してしまった「手遅れ」の状態には、いくつかの視覚的なサインが現れることがあります。ただし、これらはあくまで自己判断の目安であり、最終的な診断は専門医に委ねるべきであることを念頭に置いてください。まず、最も分かりやすいサインは「産毛の有無」です。薄毛が進行している部分を、明るい光の下で鏡を使ってじっくりと観察してみてください。たとえ地肌が透けて見えても、そこに細く短い、色素の薄い産毛が一本でも生えていれば、それは毛根がまだ生きている証拠です。毛根に髪を作り出す力が残っている限り、治療によってその産毛を太く長い毛に育てられる可能性があります。逆に、何年も前からツルツルで、産毛一本見当たらない状態が続いている場合は、毛根が活動を停止している可能性が高まります。次に注目したいのが、「毛穴の状態」です。健康な頭皮には、一つの毛穴から複数本の髪が生えているのが普通です。しかしAGAが進行すると、一つの毛穴から生える髪が一本だけになり、やがてはその毛もなくなります。そして毛根が完全に死滅(線維化)すると、毛穴そのものが閉じてしまい、ツルンとした皮膚のように見えます。まるで、手の甲の皮膚のように毛穴の凹凸が見られない場合、その部位の回復は難しいかもしれません。最後に、「頭皮の色と硬さ」もヒントになります。血行の良い健康な頭皮は青白い色をしていて柔らかいですが、AGAが進行した頭皮は血行が悪化し、黄色っぽく、硬くなっていることが多いです。これは髪が育ちにくい環境であることを示唆しています。これらのサインが複数当てはまるからといって、決して諦めないでください。それは、一刻も早く専門医に相談すべきだという、あなたの体からのメッセージなのです。