専門医が語る毛髪再生の未来と現実
本日は毛髪再生医療の第一線でご活躍の医師にお話を伺いたいと思います。先生、近年の毛髪再生医療の進歩には目覚ましいものがありますが、現状の治療の最も大きな特徴は何であると言えるでしょうか。「はい、現在の毛髪再生医療の主流は、ご自身の細胞が持つ再生能力を引き出す、という点に集約されます。例えばPRP療法では血液中の成長因子を、幹細胞治療では脂肪組織などに含まれる幹細胞を活用します。これらは、いわば眠っている毛根組織に『起きなさい』とシグナルを送るようなものです。完全に毛根が失われてしまった場所に新たな毛を生やす、というよりは、弱ったり休止したりしている毛根を再活性化させ、太く健康な髪を育てるのが主な目的となります。このため、薄毛が進行し始めた比較的早い段階で治療を開始する方が、高い効果を期待できるのが現実です。今後の展望としては、やはり毛包そのものを再生する研究が鍵を握るでしょう。iPS細胞などを用いた毛包器官の再生技術が確立されれば、理論上は無限に髪の毛を作り出すことが可能になります。そうなれば、脱毛の範囲や進行度に関わらず、誰もが豊かな髪を取り戻せる時代が来るかもしれません。しかし、実用化にはまだ安全性やコスト面でクリアすべき課題が多く、少なくとも数年から十年単位の時間が必要でしょう。だからこそ、今悩んでいる方々には、まず現時点で可能な治療法について正しく理解していただきたい。過度な期待は禁物ですが、既存の治療でも多くの方が生活の質の向上を実感されています。大切なのは、ご自身の状態を正確に把握し、現実的なゴールを設定した上で、信頼できる専門家と共に治療に臨むことだと考えています」。